現在、中国での現地採用は多少の中国語を話すことができれば、わりと簡単に職が見つかるようです。日本企業としては、日本から高い経費をかけて駐在員を赴任させるよりも、中国で福利厚生なしの日本人を雇ったほうが圧倒的に安上がりだからです。
中には面接時に、現地採用で一定期間就業した後、日本本社採用へ切り替えることを約束する企業もあります。しかしその多くは口約束、もしくはただほのめかす程度で、契約に盛り込まれることはほとんどないでしょう。実は現地採用を数年続けた後に所属が日本本社に変更され、駐在員待遇に変わったという話を聞いたことがありません。考えてみれば至極明白なことで、企業側としては経費のかさむ駐在員を送り込みたくないがために現地採用を雇うのですから、その現地採用を駐在員待遇へ変更するなど全くもって本末転倒な話です。
では中国で現地採用を経験した後に、日本へ帰国して仕事を探す場合はどうでしょうか?
一般的に言えば非常に厳しいでしょう。まず新卒信仰の強い日本で中途入社の道を探すこと自体が厳しいです。そのうえ、中国へ留学し、現地採用で就業していたという点は、かなりのマイナス評価となります。「新卒エスカレーターからはずれてあなたはいったい何をやっていたんですか?」と思われるだけです。
私個人としては、留学した後に現地採用で就業したことは良い経験になったと思っていますし、またそれを誇りに思っています。ただ日本の企業にとってはそんなことはたいしたことではないし、積極的に評価することもありません。中途採用に対しては非常に高いレベルが求められるため、現地採用で数年就業した程度の経験は、あまり評価の足しにはならないのです。
さて、リクナビという有名な転職情報サイトがあります。正社員の求人情報を探すには
リクナビネクストを、派遣社員の求人情報を探すには
リクナビ派遣を使います。この二つのサイトでフリーキーワード検索で「中国語」と入力して求人情報を探してみました。なんと3月27日時点、リクナビネクストでヒットしたのはゼロ件、それに対しリクナビ派遣では119件がヒットしました。つまり、正社員での求人はほとんどないけども、派遣社員ならばそれなりにあるということです。日本国内でも企業が中国語人材を雇う場合、年収の安い派遣社員で間に合わせるようになってしまっているのです。
さらに驚くべきことに、企業が中国語人材を雇う場合、日本の大学へ留学している新卒の中国人を積極的に正社員として雇っているということです。前日に格差問題の項でも触れましたが、中国人が富み、日本人が衰退していく構図がここにも見られるのです。
そのため、「中国語を生かした仕事がしたい」という理由だけで正社員の仕事を探すことはかなり難しいとみてよいでしょう。正社員ならば、語学は、高度なスキルやマネジメント経験、人脈などに付随するだけのオマケのようなものです。それでも根気よく探せば必ず評価してくれる企業は見つかります。複数の転職情報サイトを活用することはもちろんのこと、人材紹介会社やハローワークを有効に利用すれば、正社員として働ける会社を探しあてることは十分可能です。
もちろん既存企業に不満のある方ならば起業する道を模索してもよいかもしれません。生活費を安く抑えられる中国で節約生活を送れば、わりと早くお金がたまります。中国で現地採用で働きつつ資金を貯め、その後独立するという生き方もまた考えられるでしょう。